小説『春を待つ蟻』第四章その十七

no image
「本当に、そんなものがあるの?」  今まで私たちが二階にこもっていた理由を知り、母が素っ頓狂な声をあげる。  愛名のために作ったという夕食は、一目で母が張り切ったとわかるほどの色鮮やかさだ。…

続きを読む

小説『春を待つ蟻』第四章その十六

no image
 愛名は自分の荷物の中から。  私と父は段ボールの中身を丹念に探していく。  何しろ姉がどこに、どういう形態で遺書を残しているか全くわからないのだ。  ノートに残したのかもしれない、手紙をどこ…

続きを読む

小説『春を待つ蟻』第四章その十五

no image
 インターフォンを鳴らすと、少ししてから「はい」と母の声がスピーカーから聞こえてきた。 「真衣です。愛名連れてきたよ」 「えっ!」  母は一つ驚きの声をあげて、スピーカーを切ってしまう…

続きを読む